126. Cubase 解説
Cubaseの基本から実践まで完全解説|初心者が最初に知るべき全機能
Cubaseを購入したけど、どこから始めたらいいのかわからない。画面に並ぶ機能が多すぎて、結局いつも同じボタンしか押していない——そんな経験はありませんか?
DAWの中でも特に機能が充実しているCubaseだからこそ、全体像を理解せずに進めると、せっかくの高機能を活かしきれません。逆に基本をしっかり押さえれば、制作効率は劇的に向上します。
この記事では、Cubaseを使い始めた人が必ず知っておくべき機能と、実際の制作フローをプロの視点から解説します。記事を読み終わったとき、あなたは自信を持ってCubaseで音楽制作をスタートできるようになっていますよ。
Cubaseとは?なぜプロが選ぶのか
Cubaseは、ドイツのSteinberg社が開発した総合DAW(デジタルオーディオワークステーション)です。「DAW」とは、パソコン上で音声や音楽を録音・編集・ミックスするためのソフトウェアのこと。
Cubaseが業界スタンダードとして認識されている理由は3つあります。
まず、MIDI編集機能の優秀さです。ピアノロール(MIDIを五線譜のように視覚的に配置できる画面)の使いやすさは、他のDAWと比較しても群を抜いています。複雑なメロディーラインやコード進行も、直感的に入力・編集できます。
次に、オーディオ処理の精度。ボーカルやギター、ドラムなどの生音を高品質で録音・処理できる機能が充実しており、レコーディングスタジオのような本格的な制作が可能です。
最後に、豊富な付属音源とプラグイン。Cubase Pro版には「HALion」という総合音源やREV、EQなどのエフェクトが付属しており、追加購入なしにプロレベルの制作ができます。
プロの音楽制作現場では、Cubaseを使って映画音楽、ゲーム音楽、商業レコーディングが制作されています。つまり、あなたが学んでいるツールは、業界最高峰の制作環境と同じということです。
Cubaseの3つのグレード|初心者はどれを選ぶべき?
Cubaseは3つのバージョンが存在し、機能と価格が異なります。自分の用途に合わせたグレード選びが、制作効率を大きく左右します。
Cubase Elementsは最もシンプル版です。基本的な録音・編集・ミックスはできますが、MIDI音源が限定的で、チャンネル数にも制限があります。趣味で軽く音楽制作をしたい初心者向けです。
Cubase Artistは中級者向けのバージョン。Elementsより音源が充実し、MIDI編集機能もフルで使えます。DIY的にボーカルトラックや楽器を組み合わせた曲作りに最適で、多くのプロデューサーが最初に購入するグレードです。
Cubase Proはプロ仕様です。すべての機能が解放され、複数の高度な音源やエフェクトが付属します。映画音楽やサウンドデザイン、複雑なオーケストレーション制作にも対応できます。
初心者なら、Cubase Artistからのスタートをおすすめします。 Elementsでは物足りなくなる機会が多く、すぐにアップグレードしたくなるケースが多いからです。一方、いきなりProを買う必要もありません。制作経験を積みながら、必要に応じてアップグレードする方が経済的です。
Cubaseの画面構成と基本操作|最初に覚えるべき5つの場所
Cubaseを起動すると、複数のウィンドウと色々な機能が表示されます。まずは5つの主要エリアだけ覚えましょう。 これだけで80%の操作がカバーできます。
1. トランスポート(再生コントロール) 画面上部に「再生」「停止」「記録」ボタンがあります。ここで曲の再生と停止、そして新しい音声やMIDIの録音を開始します。初心者は「スペースキーで再生/停止」という操作をまず身につけてください。作業効率が劇的に向上します。
2. アレンジウィンドウ(メイン編集画面) 中央の大きな画面です。複数のトラック(ボーカル、ギター、ドラムなど)が横並びで表示されます。ここで各トラックのボリューム調整やエフェクト挿入、さらに音声・MIDIの大まかな配置が行われます。
3. ピアノロール MIDIトラックをダブルクリックすると開く画面です。五線譜のようにMIDIノート(鍵盤)を縦に、時間軸を横に配置できます。ここでメロディーやコード進行を細かく編集します。
4. ミキサー 各トラックのボリューム(音量)、パン(左右のバランス)、エフェクトが一覧表示されます。「View」メニューから開いてください。ボーカルを少し上げたい、ドラムを広がりのある音に変えたいという調整がここで行われます。
5. プロジェクトファイル管理 左上のプロジェクト名のエリアです。新規プロジェクトの作成、既存ファイルの保存がここから行われます。曲を作るたびに新しいプロジェクトを立ち上げる習慣をつけてください。
実践的な制作フロー|Cubaseで最初の1曲を完成させるまで
では、実際にCubaseで曲を作る流れを説明します。この手順を意識するだけで、制作に迷いがなくなります。
ステップ1:プロジェクト設定 新規プロジェクトを立ち上げたら、まずテンポ(BPM)とタイムシグネチャー(拍子)を設定します。ほとんどのポップスは120BPM、4/4拍子が標準です。これらは画面上部のトランスポート付近で変更できます。
ステップ2:ドラムトラックの作成 「新規トラック追加」から「MIDI」トラックを作成し、ドラムの基本的なグルーヴ(リズムパターン)を入れます。ここが曲の基礎になります。キック、スネア、ハイハットの3つの基本パターンだけで、意外と完成度の高いリズムができます。
ステップ3:ベースライン追加 次にベーストラックを追加します。ドラムのキックと同期するベースラインを描くことで、曲の土台がしっかり固まります。
ステップ4:メロディーとコード メイン・メロディーを追加します。ボーカルを入れる場合は専用トラックを、楽器で表現する場合は鍵盤音源を使用します。同時にコード進行も固定していきます。
ステップ5:エフェクト処理とミックス 各トラックにリバーブやEQなどのエフェクトを加えて音に奥行きと透明感を持たせます。最終的にマスタートラック(すべてのトラックをまとめるエリア)でコンプレッサーとリミッターを挿入し、全体のレベルを整えます。
この流れを意識すれば、曲作りの方向性を見失いません。最初は1曲を完成させることに集中してください。
Cubaseを使う際の注意点とよくある失敗
最も多い失敗は「高い機能を使おうとして途中で挫折する」ことです。 Cubaseにはオートメーション(時間軸で音量やエフェクトを自動変化させる機能)、サイドチェーン圧縮(特定の音に反応してエフェクトが動く機能)など高度な機能がありますが、初心者は基本機能だけで十分です。
2番目の注意点はファイル管理です。 プロジェクトファイルと音声ファイルがバラバラになると、後で編集するときに「あの音声ファイルがない」という事態になります。Cubaseの「プロジェクトを別名で保存」機能を使い、毎回新しいバージョンを作成する習慣をつけてください。
3番目は、CPU負荷への無視です。 複数のプラグイン(エフェクト)を重ねすぎると、パソコンが処理しきれず、音声がプツプツ途切れます。こうなったら「バウンス」(複数トラックを1つの音声ファイルに統合)して、負荷を減らしましょう。
Cubaseでの成功を加速させる3つのポイント
ポイント1:プリセット活用 Cubaseには、すでに調整済みの「プリセット」(ボーカル向けリバーブ、ベース向けコンプレッサーなど)が大量に含まれています。これを活用すれば、プロっぽい音に3秒で近づけます。調整スキルはあとでいいので、まずプリセットで完成度を上げてください。
ポイント2:テンプレート作成 気に入った設定ができたら、「テンプレートとして保存」してください。次からその設定を基準に新曲を作れるので、毎回ゼロから調整する手間が省けます。
ポイント3:ショートカットキーの習得 マウス操作が多いと制作効率が低下します。「Ctrl+Z(取り消し)」「Ctrl+D(トラック複製)」「Space(再生/停止)」など、頻用するショートカットをメモして、意識的に使用してください。1ヶ月で作業速度が3倍になります。
まとめ
Cubaseは確かに高機能ですが、基本となる5つの画面エリアと標準的な制作フローさえ理解すれば、初心者でも十分に使いこなせます。
大切なのは、すべての機能を学ぼうとしないこと。まずは基本機能だけで1曲完成させ、その過程で「こんなことできたらいいな」と感じた時点で、必要な機能を学ぶ——このアプローチが最も効率的です。
さあ、今日からCubaseで作曲を始めてみましょう。 最初は拙くても大丈夫。10曲作るうちに、あなたのスキルは格段に向上しています。
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